
コラム
2026/6/24 (水)更新
ネットワークエンジニアの将来性は?数年後も活躍し続けるためのスキルも解説

監修者:茂神 徹
「ネットワークエンジニアはオワコン」——インターネット上でこうした言葉を目にして、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、ネットワークエンジニアの将来性は決して暗いものではないと考えられます。むしろクラウド化やDX推進により、求められるスキルは変化していますが、ITインフラを支える専門家としての需要は高まっている傾向にあります。
本記事では、「オワコン説」の背景にある誤解をひも解き、未経験から市場価値の高いエンジニアを目指すための具体的なロードマップを解説します。
この記事のトピックス
- ネットワークエンジニアの将来性が危ぶまれる理由と明るい根拠
- 未経験からプロフェッショナルになるための段階的なキャリアステップ
- 数年後も活躍し続けるために習得しておきたいスキルセット
事前に読みたい

ネットワークエンジニアの将来性に関する噂と実態

IT業界の急速な変化に伴い、ネットワークエンジニアの仕事内容も変わりつつあります。この変化が一部で誤解を生み、ネガティブな噂に繋がっている可能性があります。
クラウド化で仕事が減る?
多くの企業がオンプレミス環境からクラウドへ移行を進めています。この動きにより、物理的な機器設置や配線作業が減るため、「仕事がなくなるのではないか」と不安視される場合があるようです。 しかし、クラウド環境内でも仮想的なネットワーク設計やセキュリティ設定は重要視される傾向にあります。さらに、オンプレミスとクラウドを併用する「ハイブリッド構成」が主流となってきており、両方の知識を持つエンジニアの需要は高まる傾向にあると考えられます。
AIは「敵」ではなく「強力な相棒」になる
AIや自動化ツールの普及により、監視業務や定型的な設定作業といった単純な確認作業は減りつつあります。しかし、この変化はエンジニアにとって必ずしもマイナスではありません。むしろ、エンジニアがより付加価値の高い設計や改善に時間を割けるようになることを意味しています。 一部の現場では、AIを活用して障害を未然に防ぐ予兆検知の技術の導入も見られており、AIはエンジニアの仕事を奪う存在ではなく、業務効率を高めるパートナーとしての役割を果たす可能性があります。 以下のような業務は、現在のAIでは代替が難しいとされています。
- 顧客の潜在的な課題を引き出すヒアリング
- 複雑な要件に基づいたゼロからのネットワーク設計
- 予期せぬ障害への高度なトラブルシューティング
AIを活用しながら、上流工程を担えるエンジニアの価値は、今後さらに高まっていく可能性があります。
夜勤などへのネガティブな声
ネットワークは24時間365日稼働する社会インフラとしての役割を担っています。そのため、深夜や休日のメンテナンスや障害対応が発生する場合があります。 ただし、かつてのように必ず現場へ駆けつける夜勤ばかりではなくなりつつあるのが実態です。リモートワークでの保守対応や、AIによる自動復旧の仕組みを導入している現場では、夜間の緊急対応の負担が軽減されているケースもあります。担当するプロジェクトのフェーズや企業の体制によって働き方は大きく異なり、柔軟な勤務形態を取り入れる企業も増えています。 また、夜勤手当を効率的に活用して貯蓄し、若いうちにスキルアップへ投資するエンジニアも少なくありません。
ネットワークエンジニアの将来性が明るい3つの理由
ネガティブな噂とは裏腹に、ネットワークエンジニアを取り巻く環境には追い風が吹いていると言えます。
DX推進とクラウド移行
企業のDX推進において、クラウドサービスの利用は非常に重要視されています。クラウドへの安全かつ安定した接続環境を設計することは、企業のビジネス戦略を根本から支える大切な役割と言えます。
| 環境タイプ | 求められるスキルの例 |
|---|---|
| オンプレミス | 物理機器の設定、配線、データセンター運用 |
| クラウド | 仮想ネットワーク設計、セキュリティグループ設定、どこからでも安全に繋がる仕組み(SASE/ゼロトラスト) |
| ハイブリッド | 両環境の連携、VPN/専用線接続、複雑なルーティング、SASE/ゼロトラストを活用した統合的なセキュリティ設計 |
※SASE(Secure Access Service Edge)とは、ネットワーク機能とセキュリティ機能をクラウド上で統合したアーキテクチャのことです。場所を問わず安全なアクセスを実現する仕組みとして、リモートワークの普及やクラウド移行が進む中で注目されています。
5G・IoT普及による需要
IoTデバイスの増加や5G通信の普及により、これまで以上に強固で大容量のネットワーク基盤が必要とされています。通信量の爆発的増加に伴い、品質制御やセキュリティ対策など多角的な視点を持つエンジニアの市場価値は高まり続けると考えられます。
IT人材不足による高い需要
経済産業省の調査によれば、2030年のIT人材不足は生産性の上昇率によって16.4万人から最大79万人程度程度と試算されており、中位では約44.9万人の需給ギャップが生じる可能性が指摘されています。なお、この数値はIT人材全体の需給ギャップを示すものです。
ネットワークエンジニアとして活躍し続けるためのスキル

技術の移り変わりが激しいIT業界では、現状のスキルに満足してしまうと市場価値が低下してしまう可能性があります。ここでは、数年後も活躍し続けるために習得しておきたい4つのスキル領域を紹介します。
クラウドネットワーク構築
企業のクラウド移行が進む中、クラウド環境上でのネットワーク設計スキルの重要性は年々高まっています。クラウドでは物理的なケーブルやルーターを扱う代わりに、管理画面やコマンドを通じて仮想的なネットワークを構築します。 たとえば、VPC(仮想プライベートクラウド)と呼ばれるクラウド上の専用ネットワーク空間を設計し、セキュリティグループで通信の許可・拒否ルールを細かく制御する作業は、クラウド環境の安全性を左右する重要な業務です。 加えて、オンプレミス環境とクラウドをVPNや専用線で繋ぐハイブリッド接続の設計ができるエンジニアは、両方の知識を持つ希少な人材として高く評価される傾向にあります。
セキュリティに関する知識
サイバー攻撃は年々高度化・巧妙化しており、ネットワークを守るセキュリティ知識の重要性はますます増しています。具体的には、ファイアウォールによる不正アクセスの遮断、IDS/IPS(侵入検知・防御システム)によるリアルタイムの脅威検出、VPNによる安全な通信経路の確保といった技術の理解が求められます。 さらに近年では、「社内ネットワークだから安全」という従来の考え方を見直す「ゼロトラストセキュリティ」の導入が広がっています。ゼロトラストとは、すべてのアクセスを信頼せずに検証するセキュリティモデルのことで、リモートワークの普及やクラウド利用の拡大に伴い、企業が採用を進めている考え方です。ネットワークとセキュリティの両方を理解できるエンジニアは、市場で強く求められる傾向にあります。
IaCなどの自動化技術
IaC(Infrastructure as Code)とは、ネットワーク機器やサーバーの設定を手作業ではなくコードとして記述し、ツールを使って自動的に環境を構築・管理する技術です。たとえば、従来は手順書を見ながら1台ずつ行っていたネットワーク機器の設定を、Terraformというツールでコード化すれば、同じ設定を何十台もの機器へ一括で正確に適用できるようになります。 IaCを導入することで、作業の効率化だけでなく、人的ミスの削減やバージョン管理(いつ・誰が・何を変更したかの記録)も実現できます。Ansibleと呼ばれるサーバー設定の自動化ツールも広く使われており、IaCを扱える人材は評価されやすい傾向があります。
プログラミングスキル
Pythonなどのプログラミング言語を使って定型作業を自動化できるスキルは、ネットワークエンジニアの市場価値を大きく引き上げる武器になります。たとえば、毎日手動で確認していたログの集計作業をPythonスクリプトで自動化すれば、数十分かかっていた作業を数秒で完了させることも可能です。 また、プログラミングで身につく「論理的に手順を組み立てる思考力」は、障害発生時のトラブルシューティングにおいても役立つと考えられます。「原因の仮説を立て、一つずつ検証していく」というプロセスは、プログラミングとネットワーク運用に共通するアプローチです。まずは日常業務の中にある「繰り返しの手作業」を見つけ、小さなスクリプトから書き始めてみることがおすすめです。

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まとめ

「ネットワークエンジニアはオワコン」という極端な意見もありますが、実態は「求められる役割が変化している」に過ぎません。物理的な作業が減る一方で、クラウドやセキュリティ、自動化といった新しい領域での専門性は、かつてないほど重要視されています。 この記事のポイント
- 「オワコン説」は大きな誤解:クラウド化によって物理作業は減っていますが、仮想ネットワークの設計やハイブリッド環境へのニーズは高まる傾向にあり、将来性は十分にあると考えられます。
- AIは代替ツールではなく「相棒」:定型的な監視や設定は自動化されますが、顧客へのヒアリングや複雑な要件定義、高度なトラブルシューティングといった「人間にしかできない上流工程」の価値は高まり続けている。
- 生き残るためのスキル:数年後も活躍し続けるためには、従来の知識に加え、「クラウド構築」「セキュリティ(ゼロトラスト)」「IaC(自動化)」「Python等のプログラミング」の習得が重要と言えます。
- IT人材不足が追い風に:2030年に向けた深刻な人材不足を背景に、ITインフラの根幹を支えるネットワークエンジニアは、未経験からでも戦略的にスキルを磨けば、長期的に安定したキャリアを築ける。
技術の移り変わりが激しいIT業界では、現状に満足せず新しい技術をキャッチアップし続ける姿勢が、そのまま市場価値に直結します。 クラウドや自動化といったトレンドを味方につけ、専門性を広げていくことで、時代に左右されない強固なキャリアを切り拓いていきましょう。まずは日常の業務に「自動化」の視点を取り入れるなど、小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。
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