コラム

2026/6/8 (月)更新

ネットワークエンジニアのキャリアパスと年収の目安を解説

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ロードマップも紹介 ネットワークエンジニアのキャリアパス
監修者:茂神 徹

ネットワークエンジニアは、インターネットや社内ネットワークなど、現代社会に欠かせないITインフラの土台を支える重要な職種です。クラウド化やセキュリティ対策の重要性が高まる中、ネットワークエンジニアの需要は今後も継続する可能性が高いと考えられています。

未経験からIT業界に飛び込もうとしている方や、すでにネットワークエンジニアとしての一歩を踏み出している方にとって、将来どのようなキャリアを描けるのかは大きな関心事ではないでしょうか。

この記事では、ネットワークエンジニアが選べるキャリアパスを網羅的に紹介し、それぞれの年収の目安やロードマップ、役立つ資格まで具体的に解説します。今後のキャリアを考える上で参考にしていただければ幸いです。

この記事のトピックス
  • ネットワークエンジニアが選べるキャリアパスの全体像と年収の目安
  • 未経験から10年後も活躍するためのスキルアップロードマップ
  • キャリアアップに役立つスキルと資格の選び方
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ネットワークエンジニアのキャリアパスの全体像と年収水準

ネットワークエンジニアのキャリアパスは多岐にわたります。まずは全体像を把握した上で、自分の適性や志向に合った道を選ぶことが大切です。 以下の表は、キャリアパスごとの年収の目安を一覧にしたものです。

キャリアパス年収の目安主に求められるスキル
運用・保守・監視(未経験〜)約300万円〜450万円程度基礎的なネットワーク知識、手順書に沿った運用スキル
設計・構築(経験者)約450万円〜600万円程度要件定義、ネットワーク設計、クラウド・サーバーの知識
ネットワークスペシャリスト約550万円〜800万円程度特定分野の高度な専門知識、最新技術への対応力
インフラジェネラリスト約550万円〜800万円程度ネットワーク・サーバー・クラウドの横断的な知識
PM・PL(マネジメント職)約600万円〜1,100万円程度プロジェクト管理、顧客折衝、リーダーシップ
ITコンサルタント約600万円〜1,100万円程度経営課題の分析力、IT戦略の立案力、業界知識
隣接職種への転身※職種による転身先に応じた専門スキル(セキュリティ、クラウド等)

※上記は一般的な傾向であり、企業や個人のスキルによって大きく異なる場合があります。なお、経験やスキルレベルによっては上記の範囲を超える年収を得られるケースもあります。

出典:「職業情報提供サイト(job tag)」(厚生労働省)の各職種データを参考に作成

キャリアパス1:ネットワーク技術のスペシャリスト

ネットワーク技術の特定分野に特化し、深い専門知識と高度なスキルを持つ専門家を目指す道です。クラウド移行やセキュリティ対策の需要が高まる中、スペシャリストの市場価値は非常に高くなる傾向にあります。

クラウドエンジニア

AWS、Azure、GCP(Google Cloud Platform:Googleが提供するクラウドサービスの総称)などのクラウド環境におけるネットワーク設計・構築に特化したキャリアパスです。VPC(Virtual Private Cloud:クラウド上に構築する仮想的なプライベートネットワーク空間)、VPN接続、ロードバランサ(複数のサーバーにアクセスを分散させ、負荷を均等化する仕組み)などクラウド特有の技術に精通していることが求められます。 オンプレミス(自社設備)とクラウドを組み合わせた「ハイブリッド環境」の需要が非常に高まっており、両方の知識を持つエンジニアの市場価値は高い傾向にあります。AWS Certified Solutions Architect - Associateなどのクラウド資格を取得することで、スキルを客観的に証明できる可能性があります。

ネットワークセキュリティエンジニア

ファイアウォール(外部からの不正なアクセスを遮断する仕組み)、IDS/IPS(IDS:不正な通信を検知するシステム、IPS:検知に加え自動的に遮断まで行うシステム)、WAF(Web Application Firewall:Webアプリケーションを狙った攻撃を防御する専用のセキュリティ対策)などのセキュリティ機器の導入・運用を専門に担当するキャリアパスです。ゼロトラストアーキテクチャ(すべての通信を信頼せず検証するセキュリティの考え方)など、最新のセキュリティ概念にも対応する場合があります。 サイバー攻撃の高度化に伴い、セキュリティの専門知識を持つネットワークエンジニアの需要は増加傾向にあります。情報処理安全確保支援士試験などの資格取得が評価につながるケースも見られます。

ネットワーク自動化エンジニア(NetDevOps)

PythonやAnsibleなどのツールを使い、ネットワークの設定や運用を自動化する役割です。手作業による設定ミスを防ぎつつ大規模なネットワークを効率的に管理できるため、今後のネットワーク運用において標準的なスキルとなりつつあります。 「コードを書いてインフラを管理する」という考え方はIaC(Infrastructure as Code)と呼ばれ、DevOpsの文脈でも重視されています。プログラミングスキルとネットワーク知識の掛け合わせにより、市場での希少価値が高まる可能性があります。

キャリアパス2:インフラ全体を見渡すジェネラリスト

ネットワークだけでなく、サーバー、ストレージ、データベース、クラウドなど、ITインフラ全般に関する幅広い知識とスキルを持つエンジニアを目指す道です。

ジェネラリストの強みと活躍の場

ジェネラリストの強みとして、以下の点が挙げられます。

  • ネットワークとサーバーの両方の知識を活かし、インフラ全体の設計・構築・運用を担当できる可能性があります
  • 限られたリソースで多様な役割が求められる環境で重宝される傾向があります
  • 客先常駐やSES(準委任契約)の働き方では、様々な現場で異なるネットワーク環境やサーバーに触れる機会が多いため、実務を通じて幅広い知識を吸収しやすい環境と言えます

特に中小企業やスタートアップでは「インフラ全般を一人で任せられる人材」が求められるケースが多く、ジェネラリストの需要は根強いと考えられます。

スペシャリストとの違いと選び方

スペシャリストが「狭く深い」専門性を追求するのに対し、ジェネラリストは「広く実践的な」知識で勝負するキャリアです。どちらが優れているということではなく、自身の志向や活躍したい環境に応じて選択することが大切です。 将来的にスペシャリストへ方向転換する場合でも、ジェネラリストとして培った幅広い知識は大きなアドバンテージとなります。まずはジェネラリストとして経験を積み、自分の得意領域を見極めてからスペシャリストに転身するパターンも有効な選択肢の一つです。

キャリアパス3:マネジメント・上流工程への道

技術的なバックグラウンドを活かし、プロジェクトの管理や組織の運営に携わるポジションを目指す道です。技術力にビジネススキルを掛け合わせることで、より高い年収レンジを目指せる可能性があります。

プロジェクトマネージャー(PM)・プロジェクトリーダー(PL)

プロジェクト全体の計画、進捗管理、予算管理、品質管理、チームメンバーのマネジメントなどを担当します。技術スキルに加えて、高いコミュニケーション能力やリーダーシップが求められます。 ネットワーク構築プロジェクトの現場を知っているPM・PLは、現実的なスケジュール策定やリスク管理ができるため、顧客からの信頼も得やすい傾向にあります。PMP(Project Management Professional)やプロジェクトマネージャ試験(IPA・情報処理推進機構)などの資格が評価される場合もあります。

ITコンサルタント

顧客の経営課題をIT技術を用いて解決するための戦略立案やシステム導入支援を行うキャリアパスです。ネットワークを含むITインフラ全般の深い知識に加え、ビジネスの仕組みや業界動向に関する知識も必要となる場合があります。 ITコンサルタントは、ネットワークエンジニアのキャリアパスの中でも特に高い年収が期待できるポジションの一つです。一方で、技術力だけでなく提案力やプレゼンテーション能力も求められるため、意識的にビジネススキルを磨くことが大切と言えます。

キャリアパス4:他のITエンジニアへの転身

ネットワークエンジニアとして培った論理的思考力、問題解決能力、インフラの基礎知識は、他のITエンジニア職種でも大いに活かすことができます。

サーバーエンジニア

ネットワークの知識はサーバー運用においても重要であり、サーバーの構築・運用スキルを身につけることで転身が可能と考えられます。ネットワークとサーバーの両方を扱えるようになることで、インフラ全体を見渡せる「サーバーエンジニア」として幅広く評価される傾向にあります。 LinuC/LPICなどのLinux関連資格を取得し、サーバーOSの操作に習熟することが転身の第一歩と言えるでしょう。

セキュリティエンジニア

ネットワークセキュリティの経験を活かし、システム全体のセキュリティ設計・運用を専門に行う道です。サイバー攻撃が高度化する中、セキュリティエンジニアの需要は年々高まっており、年収水準も上昇傾向にあると考えられます。 情報処理安全確保支援士試験の取得に加え、脆弱性診断やペネトレーションテスト(疑似的にサイバー攻撃を行い、システムのセキュリティ上の弱点を検証するテスト手法)などの実践的なスキルが求められる場合があります。

クラウドエンジニア

クラウド環境のインフラ構築・運用に特化し、各種クラウドサービスの知識を習得することで活躍の場を広げられる可能性があります。ネットワークの基礎知識を持つクラウドエンジニアは、クラウド環境のネットワーク設計でも即戦力として評価される傾向にあります。 AWS認定資格やAzure関連資格を取得することで、クラウドエンジニアとしてのキャリアを加速させられる可能性があります。

ネットワークエンジニアのキャリアパスに役立つスキルと資格の例

キャリアアップを目指す上では、実務で活かせるスキルの習得と、それを客観的に証明する資格の取得を並行して進めることが有効です。

キャリアアップに求められるスキル

ネットワークエンジニアがキャリアパスを広げるために身につけておきたいスキルは、大きく「技術スキル」と「ビジネススキル」の2つに分けられます。 技術スキルとしては、ネットワーク設計・構築の基礎に加え、クラウドサービス(AWS、Azure等)の知識、セキュリティに関する知識、そしてPythonなどを用いた自動化・プログラミングスキルが挙げられます。特にクラウドとセキュリティの知識は、現在の市場で高いニーズがある傾向にあります。 一方、ビジネススキルとしては、顧客やチームメンバーとのコミュニケーション能力、障害発生時の論理的な問題解決能力、そしてマネジメントやコンサルティングを目指す場合にはプロジェクト管理力や提案力が重要となります。技術力だけでなく、これらのスキルを意識的に伸ばすことで、キャリアの選択肢が大きく広がる可能性があります。

初心者向け:基礎知識の証明

資格名特徴
CCNACisco Systems社が認定するベンダー資格です。ネットワークの基礎から、ルーターやスイッチの基本的な設定まで幅広く問われ、ネットワークエンジニアの登竜門として知られています。
基本情報技術者試験IPAが実施する国家資格です。ネットワークだけでなくIT全般の幅広い基礎知識を証明できる可能性があります。
LinuC Level1LPI-Japanが実施する、日本市場向けのLinux技術者認定資格です。Linuxのシステム管理やサーバー構築の基礎知識が問われます。ネットワークとサーバーは車の両輪のような関係にあるため、CCNAの次に取得すると現場での評価が高まる傾向があります。
LPIC-1カナダに本部を置くLPI(Linux Professional Institute)が実施する、国際的に認知されたLinux技術者認定資格です。LinuC Level1と出題範囲は近いものの、運営団体が異なり、グローバルでの通用性を重視する場合に選ばれる傾向があります。

中級者向け:実務スキルの証明

資格名特徴
CCNPCCNAの上位資格です。より大規模で複雑なネットワーク環境の設計・構築に関する高度な知識が求められる場合があります。
応用情報技術者試験基本情報技術者試験の上位資格です。システム設計やプロジェクトマネジメントに関する知識も問われます。
AWS Certified Solutions Architect - AssociateクラウドサービスAWS上でのシステム設計・構築に関する知識を証明するアソシエイトレベルの資格です。より上位のプロフェッショナルレベルも用意されています。
Microsoft Azure Administrator Associate (AZ-104)Microsoft Azureの管理・運用に関する知識を証明するアソシエイトレベルの資格です。Azure環境でのインフラ管理スキルを示すことができます。

上級者向け:高度な専門性証明

資格名特徴
ネットワークスペシャリスト試験IPAが実施する高度情報処理技術者試験です。ネットワークに関する国内最高峰の国家資格とされています。
情報処理安全確保支援士試験サイバーセキュリティに関する高度な知識と技能を証明する国家資格です。

ネットワークエンジニアのキャリアパスを描くロードマップ

IT技術の進化は非常に速く、ネットワークエンジニアに求められるスキルも変化し続けています。10年後も第一線で活躍し続けるためには、計画的なスキルアップが大切です。

STEP1:基礎知識と資格取得(目安:1〜3年目)

まずは、ネットワークの基礎をしっかりと固め、実務経験を積むことが優先されます。 この時期に取り組みたいことは以下の通りです。

  • TCP/IP(インターネットを含むネットワーク上で機器同士がデータをやり取りするための通信規約の総称)やOSI参照モデル(ネットワーク通信の仕組みを7つの階層に分けて整理した国際標準の概念モデル)の理解:ネットワーク通信の基本となる仕組みを徹底的に理解する
  • 運用・保守業務での経験:実機に触れ、トラブルシューティングの経験を積むことで実践的なスキルを養う
  • 資格取得:CCNAなどの入門資格を取得し、客観的なスキル証明を得る

運用・保守業務は基礎的な作業が中心となる場合がありますが、システム全体を俯瞰する視点や、障害対応を通じた論理的思考力が培われる大切な期間です。

STEP2:設計・構築への挑戦とスキルの掛け合わせ(目安:3〜5年目)

基礎が固まってきたら、設計や構築といった上流工程の業務に挑戦し、スキルの幅を広げていきます。 この時期に取り組みたいことは以下の通りです。

  • 設計・構築業務への参画:要件定義やネットワーク構成の設計など、より高度な業務に携わる機会を積極的に求める
  • クラウド・サーバー知識の習得:サーバー(Linux)やクラウドの知識は、ネットワークエンジニアが市場価値を高めるうえで不可欠なスキルと言えます。AWSなどのクラウドサービスやLinuxなどのサーバーOSを習得することで、ネットワーク単体ではなく「ITインフラ全体」を見渡せるエンジニアへと成長できる可能性があります
  • 上位資格への挑戦:CCNPやLinuC/LPICなどの関連資格の取得を目指し、専門性を高める

様々なプロジェクトに参画することで、多様な技術や業界に触れる機会が得られ、短期間で幅広い経験を積める可能性があります。

STEP3:キャリアの方向性を定める(目安:5年目以降)

約5年目以降は、これまでの経験を活かし、自身のキャリアの方向性を明確に定め、さらにステップアップを目指す時期と考えられます。 スペシャリストの道を選ぶ場合は、クラウドネットワーク、セキュリティ、自動化(NetDevOps)など特定の分野に特化し、最新技術の動向を常に把握して導入・活用できる能力を磨くことが大切です。 マネジメントの道を選ぶ場合は、プロジェクトリーダー(PL)やプロジェクトマネージャー(PM)としてチームを牽引し、顧客折衝や予算管理などのビジネススキルも習得していくことになります。 どちらの道を選ぶにしても、継続的な学習姿勢と変化に対応する柔軟性が長期的なキャリア形成の鍵と言えます。加えて、AIがインフラ運用をサポートする時代が本格化しつつあるため、技術を「覚える」だけでなくAIを「活用して効率化する」視点を持つことで、長期にわたり替えの利かないエンジニアとして活躍し続けられる可能性があります。

まとめ

ネットワークエンジニアのキャリアパスは、技術を深掘りする「スペシャリスト」、領域を広げる「ジェネラリスト」、そして組織を動かす「マネジメント」など、非常に多岐にわたります。どの道を選んでも、ITインフラの根幹を支える知識は共通の武器となり、スキルと経験を積み重ねることで高待遇を目指せるチャンスが広がっています。 本記事の要点を振り返ってみましょう。 この記事のポイント

  • キャリアによって年収レンジが変化:運用保守から始まり、設計構築、PMやITコンサルタントへとステップアップすることで、着実な昇給が期待できる。
  • 「掛け合わせ」が市場価値を決める:単なるネットワーク知識だけでなく、「クラウド」「セキュリティ」「自動化(プログラミング)」といった隣接スキルを掛け合わせることが、現代のエンジニアとして生き残る鍵。
  • マネジメントやコンサルへの転身も有力:技術的なバックグラウンドを持つPMやコンサルタントは、現場感覚に基づいた的確な判断ができるため、顧客やチームから高く評価され、高年収に直結しやすい。
  • スキルと資格の両輪でキャリアを加速:CCNAから始まり、応用情報や各種スペシャリスト試験、PMPなど、自身の進みたい方向に合わせた資格を取得しつつ、実務で求められるスキルを磨くことで、客観的な評価を得ながらキャリアを加速できる。

大切なのは、自身の適性や「どのような働き方をしたいか」という志向に合わせて、戦略的にスキルを積み上げていくことです。 未経験からのスタートであっても、まずは現場での実務経験を積み、一つひとつ資格を手にしていくことで、道は確実に拓けます。変化の激しいIT業界だからこそ、基礎を大切にしながら新しい技術を柔軟に取り入れ、自分らしいキャリアを築いていってください。

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